特に峠名などがあるわけではないが、洲本と五色を結ぶ県道 「県道46号 洲本五色線」の山を越える部分には、嘗て隧道が穿たれていた。 だが、今は写真のように切り通しで越えている。
向こうの山を見ただけでかなり不安にさせてくれる、ひょっとして埋まっているのか!?
や、やばっ、埋没ですか、拝めませんか、マジですか? でも雰囲気はよいです、夜に来たくないですよ。
よっしゃ、やった、きたっ!見えたよ、見えましたよ! ありました、ちょっとした藪の向こうに、ひっそりと口を開けています。
扁額。どう見ても左から右に書かれている・・・。 我らがオブローダー御用達「山形の廃道」さんの全国隧道リストによると、 横尾隧道は明治35年竣工となっている。覆工済みとは書かれているが 当初からこの様にコンクリート巻だったのだろうか? 後から補修を受けたとしか思えない造りだ。
槻坂と同じように、コンクリートにアーチ冠の溝を付けてある簡易装飾。
曲がっている様子はないのだが、真っ暗闇で向こうには光が見えない。 風も抜けている様子がなく、ひょっとして、閉塞しているのか!? 強固な鉄門扉も何れ自動的に開かれる運命のようだ、 大量の堆積土砂が徐々に門を押し広げている。
で、反対側・・・いや、もう、ね閉塞とか・・・そんな段階ではなくってですね? 五色側の坑門は何処だー!?
そりゃね、これだけの崩落なら、気持ちよく埋まるってもんでしょうね。 最近崩れたものかどうかは解りません。しかし、その崩れた口はいやにきれいし、 ひょっとしたら、去年の台風群発の際に崩れたのかも知れません。
でも、見つけた!ありました、わずかに覗かせているポータルが。 ・・・ってポータルの最上部ですよ、これ。 反対側はあれだけ高さがあったのに、一体どれだけ埋没しているんだろう。
よく見るとコンクリで覆われたポータルの後ろに煉瓦が見える。 やはり、当初は煉瓦隧道であったのだろう、しかし、この地山故、崩落などが相次ぎ コンクリート補強しないと保たなかったのかも知れない。
こちら側の山肌も御覧の通りである。辺りは礫岩・砂岩・泥質岩と呼ばれる堆積岩の層か 花崗岩からなる地質かのようで、長年の風化により非常に崩れやすく脆くなっているため 隧道の寿命を縮めたのかも知れない。
このような地質の割りに、手元にある昭和55年の地図では隧道が示されているので、 この地質にしてはかなり長持ちしたのではないだろうか? 現道の切り通しも、最近土砂崩れがあったらしく、現在復旧工事中であった。 記録を漁ってみると1990年に横尾トンネル前で5mに渡って土砂が崩れたと有ることから、 平成に入っても現役だったようだ。
以下3枚は学生服のヤマダさんより頂いた、在りし日の横尾隧道。 在りし日といっても現役時代ってわけではないのですが。 コレは西側、つまりは五色町側ですね、埋まってる方。
反対側の明かりも見えている様に、全長180mとそれほど長い隧道でもないのだ、 これが扁額さえもすっかり見えなくなるくらいに埋まってしまったとは。
2004年の9月まだこの状態だったのだ。この後に来た台風は多くないながらも、 大変な被害をもたらした巨大台風が来襲した。 撮影しているこの地点はすでに土の中とは考え難い。