嘗てここに隧道があった。
しかしながら、モータリゼーションの波と車両の大型化は、
日本海に浮かぶこの小さな島々にも否応無く訪れた。
あるものは別に付け替えられた新道にその座を奪われ、
またあるものは別にトンネルを穿たれ、
そして、またあるものはそのどちらも適わず開削された。
嘗てここにあった隧道は、「都万隧道」 [地図]と
呼ばれ昭和13年竣工で、全長37.4m、巾2.2m、高さ1.9mと
それほど大きくはないが元より人が通れるトンネルとして穿たれたものであった。
その後、昭和44年自動車も通れるように幅員5mのトンネルとして整備されたが、
それでも、交通量の増加や自動車の大型化、島民の日常生活と観光振興のために
平成14年に開削されたらしいのだ、なんとも、なんとも惜しいことだ!
ここのオープンカット方法は変わっていて、都万集落内に他に車を逃がせる迂回路を確保できず、
まずトンネル横を掘り下げ、そちらに車を逃してからトンネルを開削したという、
故に、かなり幅広い切り通しとなっている。