残念!山古志の某有名な手堀り隧道ではありません。
「中山隧道」(竣工:1935年 全長:151.2m) [地図]とは、隠岐の島後中央に聳える山地にあり、
現在はその下を国道485号が「五箇トンネル」(竣工:1984年11月 全長:699m)にて抜けている。
隠岐には数少ない、完全"廃道"のひとつだ。
旧道に入って少し上がると苔生した古いRC橋で真杉川を渡る。 橋の幅は優に1.5車線はある。
廃されて20年近く経つが、植生に悩まされる以外は驚くほど"綺麗"廃道だ。 倒木も崩落も無く、小さな木々を多少薙ぎ倒しながら進むのなら 車でも進入は不可ではないと思えるほど、類稀なる廃道だと思う。
そうこう言ってるうちに倒木あるし。 面白いことに倒木の向こうは背の丈低い草ながら下草の藪なのだ、 倒木のこっちまでは路面も見られるのに、不思議空間だ。 バイク下は普通の路面に見えるが、実は知る人ぞ知る 湿っているときは恐怖の「黒い苔みたいなもん」だ、 歩くだけでもツルツル滑って歩きにくい、ここでバイク転かしてたら きっと一人では起こせなかっただろう。
ここからは徒歩で到達することにする、倒木の向こうから恨めしそうにこちらを見る愛車。 こうやって見ると、向こうとこっち見た目の藪は変わらんなぁ。
"道"はわかるのだが、一面草に覆われ、じめじめしたトンネル前空間。
落石注意の標識が残る。思えば結構な幅があるではないか、普通車同士なら離合は可能だ。
で、ついにきました、目的の隧道「中山隧道」、 相変わらず突如として山奥に現れる古い隧道は不思議空間だ。 今まで訪れた廃隧道はなかなか堅牢な柵があるものが多かったが、 なんて簡易な柵であろうか、上部に有刺鉄線がある分、 まだ「入らないでね」間が伝わってくるというものだ。
「トンネル内落石注意」いつも思うのだが、「落石」をどうやって「注意」しろというのだ・・・? 歩行者なら良く見ながら落ちてくる石も避けられない事はないらしいのだが、 車でなら不可能と言うものだ、それが、トンネルと言う閉塞空間で・・・どないせーっちゅぅねん!
排水機構もきっちりと備えてあるが、他の廃隧道に見られるような 沢水の滴りも無く綺麗ものだ。
どうやら石ポータルではないようだが、コンクリートブロック積みか? アーチ環はコンクリートに溝を付けただけの様だ。 一面苔に覆われ重厚感漂う、致命的な欠落も無く当時のままの姿が偲ばれる。
扁額、これもコンクリート製のようだが、今までそれほど数多くの 古隧道を見て回ったわけではないので、なんとも言えないがコンクリ製って珍しい? 昭和10年であるにもかかわらず左から右書きだが、どうなんだろう? それとも過去に改修を受けたのだろうか?
こんなところ人が来るとも思ってないのだろうか? 扉は施錠されていなかったので、いつものように失敬して・・・ なにか灯りを持って行っておけば良かったと後悔する、懐中電灯でも買っておくか。 写真撮った後、補正すると、なんと!?中央付近に崩落が見られるし。
コンクリート覆いされているが、元は素掘りか、路面の両側にはしっかりと排水設備が整い、 近年まで補修が重ねられながら使用されていたことが良く分かる。 愛され続けた古隧道だ、これしか通る道が無かったから、なんていってしまえば元も子もないが。